2025年10月初旬、仮想通貨取引所BitMEXの共同創業者アーサー・ヘイズ氏が、業界に衝撃的な見解を示しました。「ビットコインの4年サイクルは終わった」という主張です。
長年、投資家の指標となってきた半減期を軸としたサイクルが、もはや機能しないというのです。
これまでの常識だった4年サイクル
ビットコインには約4年ごとの価格パターンがありました。半減期を境に価格が急騰し、その後大きく下落する。2013年、2017年、2021年と、このパターンは繰り返されてきました。
2013年には250ドルまで上昇後に暴落。2017年は2万ドルを記録後に急落。2021年には約7万ドルに達した後、翌年80%近く下落しました。
多くの投資家がこのサイクルを前提に投資戦略を立ててきたのです。
実は違う原因があった
ヘイズ氏が10月9日に公開したブログ「Long Live the King」では、過去の暴落の真因が半減期ではなく、各国の金融引き締め政策にあったと指摘されています。
2014年の下落は米国の量的緩和終了と重なり、2018年は利上げ局面、2022年はFRBの急激な金利引き上げ期でした。
つまり、半減期はたまたまタイミングが重なっただけで、本当の価格変動要因は市場に流れる資金量だったというわけです。
2025年は何が違うのか
現在の環境は過去とまったく異なります。
FRBは2025年9月に利下げを開始し、政策金利は4.00~4.25%となっています。今後さらなる引き下げの可能性も指摘されています。
中国もデフレ脱却のため流動性供給を増やす姿勢を示しており、トランプ政権も経済成長のため緩和的な金融政策を支持しています。
こうした環境では、過去のような「4年後の暴落」ではなく、長期的な上昇相場が続く可能性があるとヘイズ氏は分析しています。
新しい価格決定要因
ヘイズ氏は今後、ビットコイン価格を決めるのは半減期ではなく、米ドルと中国人民元におけるマネーサプライの変化だと強調しています。
金利が下がれば融資コストが下がります。すると投資家は預金のような安全資産より、ビットコインのような成長性のある資産に資金を向けるようになります。
過去の強気相場も、すべて量的緩和と信用拡大があった時期と重なっていました。
ETFが市場構造を変えた
ヘイズ氏の主張を後押しする要因として、2024年初のビットコイン現物ETF承認があります。
ビットコインは2025年10月6日に史上最高値となる12万6000ドル台を記録しました。現在は11万ドル前後で推移しています。
2025年10月7日までの週間データでは、ビットコインETFに35.5億ドルが流入し、10月6日単日では12.1億ドルという過去最高の流入を記録しました。
機関投資家の参入により、個人投資家の短期売買が主流だった市場から、長期保有が中心の安定した市場へと変化しつつあります。
反対意見も根強い
もちろん、すべての専門家がヘイズ氏に同意しているわけではありません。
仮想通貨取引所ジェミナイのアジア太平洋地域責任者サード・アフメド氏は「4年サイクルは今後も何らかの形で続く可能性が高い」と反論しています。
半減期による供給減少は依然として重要な要因だという意見や、ヘイズ氏が流動性の影響を過大評価しているという指摘もあります。
投資家は何を見るべきか
ヘイズ氏の見解が正しければ、投資家は半減期の日程よりFOMC(連邦公開市場委員会)の会合に注目すべきです。
FRB当局者の一部は年内にさらに2回の利下げを見込んでいます。中国の金融政策や、ドル相場の動きも重要な指標になります。
ヘイズ氏は「ワシントンと北京の金融政策の主導者たちの声に耳を傾けよ。彼らは明確に、通貨はより安く、より多くなると述べている」と結論づけています。
変化する市場への適応
4年サイクルが終わったかどうかは、時間が経たなければ分かりません。ただ、暗号資産市場が初期の単純なパターンから、より複雑で成熟した段階へ進化していることは確かです。
投資家にとって大切なのは、カレンダーではなく経済指標を注視すること。変化する市場環境に柔軟に対応する姿勢が求められています。
Disclaimer: 本記事は情報提供を目的としており、投資・税務・法律・会計上の助言を行うものではありません。記載内容の正確性や完全性を保証するものではなく、将来の成果を示唆するものでもありません。暗号資産への投資は価格変動が大きく、高いリスクを伴います。最終的な投資判断はご自身の責任で行い、必要に応じて専門家にご相談ください。