手数料が高くてもSPYが選ばれ続ける理由と流動性の話


コストより大切なものがある


S&P500への投資といえば、最近は経費率の安いVOOやIVVが人気ですよね。でも実は、運用資産残高や取引量で世界一を走り続けているのは、1993年に生まれたSPYなんです。なぜコストが少し高いのに、30年以上も市場の標準として選ばれ続けているのか、不思議に思いませんか。その理由は、数字だけでは見えないある重要な要素にあります。


30年の歴史が作った圧倒的な規模


ステートストリートが運用するSPYは、ETFの歴史そのものといえます。1993年の登場以来、米国市場の動きをそのまま表す存在として定着しました。500社の株を個別に買うのは資金的にも管理的にも現実的ではありませんが、これ一本で解決するのはやはり画期的です。


現在も世界最大級の運用資産規模を誇り、その存在感は別格です。多くの投資家が信頼を寄せている証拠であり、この規模自体が一種のインフラとして機能しているとも言えます。


なぜ手数料が高い方を選ぶのか


長期投資なら、経費率0.03パーセントのVOOなどが有利なのは数字を見れば明らかです。SPYは約0.09パーセントですから、維持費は単純計算で3倍違います。10年、20年と積み立てるなら、この差は無視できません。私も老後資金のための積立口座ではVOOを愛用しています。


それでもSPYが支持される最大の理由は、圧倒的な流動性にあります。流動性とは、欲しい時にすぐ買えて、売りたい時にすぐ現金化できるかどうかの度合いです。


見えないコストを削減する力


2025年11月現在でも、SPYの1日あたりの取引量は他のETFとは桁が違います。これが私たち個人投資家にどう関係するのかというと、実質的な取引コストに関わってくるんです。


まず、売りたい価格と買いたい価格の差であるスプレッドが極めて小さいのが特徴です。取引参加者が多いため、常に適正価格で売買注文が並んでいます。


さらに重要なのがスリッページのリスクが低いことです。取引量が少ない銘柄だと、注文した価格と実際に約定する価格がズレてしまい、思わぬ損をすることがあります。SPYはこのズレがほぼ発生しないため、大口の機関投資家や短期トレーダーにとっては、手数料の差以上にメリットが大きいのです。


どちらを選ぶのが正解か


結局のところ、数十年放置するような積立投資ならコストの安い銘柄が正解でしょう。ただ、暴落時でも瞬時に適正価格で売買できるという安心感を保険料として払うと考えれば、SPYのコストも決して高くはありません。


自分の投資スタイルに合わせて、長期保有ならVOO、機動的に動かしたい資金ならSPYといった具合に使い分けるのが、賢い付き合い方ですね。


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