独身20代は生命保険に入るべき?加入率と保険料で検証

独身20代は生命保険に入るべき?加入率と保険料で検証

独身で持病もない20代は生命保険に入っていないと思われがちだが実際はどうか


独身で持病もない20代なら、生命保険には入っていないのが普通だろうと思われがちです。実際の加入率は58.5パーセント。全年代の82.1パーセントに比べれば確かに最も低い水準ですが、半数以上はすでに加入しているというのが実情です。入っていなくても当然と見られる年代で、では実際に加入している人たちは何を基準に判断しているのでしょうか。



生命保険文化センターの「令和元年度 生活保障に関する調査」によると、20代の生命保険加入率は男性58.5パーセント、女性59.9パーセントです。全年代の加入率82.1パーセントと比べると、20代は最も低い年代にあたります。約4割は何らかの理由で加入していないわけで、必要性の有無については判断が分かれる年代だと言えるでしょう。



加入している人の年間払込保険料は、男性が14万7,000円(月換算で1万2,250円)、女性が11万4,000円(月換算で9,500円)です。生命保険に加入している20代の多くは、月1万円前後の負担で保障を持っていることがわかります。独身で持病がないなら、まずこの月1万円前後という水準が自分の収入や生活費に対して無理のない範囲かどうか、そこが判断の出発点になります。加入率58.5パーセントという数字は、20代の半数以上が実際に保険料を払っている現実を示しているわけです。この水準が何を根拠に成り立っているのかは、加入のきっかけと中身を見るとわかってきます。



20代の生命保険加入は結婚や子育てが引き金だと思われがちだが実際の理由は何か


20代の生命保険加入は結婚や子育てがきっかけだと思われがちです。ところが生命保険文化センターの別の調査では、20代が保険に加入した理由として「就職」や「家族や友人などにすすめられて」が最も多く挙げられています。社会人になり収入が安定し始める時期に、将来のリスクへの意識が高まるようです。



背景には、公的医療保険だけでは対応しきれない費用が存在します。健康保険に加入していれば治療費は3割負担で済みますが、入院や手術で医療費が100万円かかった場合、高額療養費制度を利用しても月約8万円の自己負担が発生します。食事代や差額ベッド代、日用品代、交通費はこの制度の対象外です。こうした対象外の費用も合わせると、入院中の自己負担はまとまった金額になります。会社員や公務員なら傷病手当金が給付されますが、保障されるのは収入の3分の2のみで、支払期間にも限りがあります。



もう一つの背景は、年齢とともに保険の選択肢が狭まるという構造です。生命保険の多くは加入時に健康状態や病歴の申告が必要で、過去5年以内に傷病歴があると加入できなかったり、保障内容が制限され保険料が割増になったりします。20代は健康上のリスクが相対的に低いため、加入できる保険の種類が豊富な時期です。選べる期間が限られているという事実こそが、独身で持病もない今のうちに検討しておくべきだという意識につながっています。終身型の生命保険であれば加入時の保険料がそのまま一定で続くため、20代で加入する場合と30代、40代で加入する場合とで、払い込む総額に差が生じます。月約8万円という高額療養費制度下の自己負担額が、今の判断を左右する基準の一つです。この自己負担額を踏まえたうえで、独身20代が実際にどの保険を優先すべきかが次の問題になります。



独身20代はまず死亡保険を検討すべきだと思われがちだが実際に優先すべきものは何か


独身20代はまず死亡保険を検討すべきだと思われがちです。しかし独身の場合、自分が亡くなった際に生活費の保障が必要な家族がいないケースが多く、死亡保険の優先度は相対的に低くなります。入院や手術による出費、働けなくなった場合の収入減少は独身であっても直接自分に降りかかるリスクです。最初に検討すべきは、死亡保険より医療保険や就労所得保障保険だと言えます。



実際の給付水準を見ると、20代で疾病入院給付金が支払われる保険に加入している人の1日あたりの平均給付額は、男性で9,400円、女性で7,900円です。制度対象外の費用も含めると入院中の自己負担はこの給付額を上回ることがあり、その場合は差額を貯蓄や公的制度と組み合わせて補う必要が出てきます。給付額と実際の自己負担額の間にずれが生じる以上、保険だけに頼りきるわけにはいかないという現実が見えてきます。



一方で、20代が医療保険に加入することには慎重に考えるべき面もあります。高額療養費制度により自己負担には上限があるため、民間保険がなくても一定の保障は受けられます。20代は収入がまだ安定しない時期でもあり、家賃や生活費、奨学金の返済など他の支出と保険料が競合すれば、貯金や投資に回せる資金が減ってしまいます。保険料は月1万円前後でも、数十年単位で支払い続けると総額はかなり大きくなります。掛け捨て型なら保険料は比較的安く済みますが満期時の返還はありません。貯蓄型なら保障と資産形成を兼ねられますが、途中解約時に受け取る金額が払込総額を下回ることもあります。



独身で持病もない20代が生命保険を検討するなら、死亡保険より医療保険や就労所得保障保険を優先し、月々の保険料が1万円前後という水準に収まるかどうかを自分の家計で確認する。この順序が実践的です。加入率58.5パーセントという数字は、入っていないのが普通なのではなく、約6割がこうした基準をもとに判断した結果だということを示しています。