暗号資産を持っているだけで、毎月収益が入ってくる。そんな仕組みが、2025年の米国市場で現実になりました。
7月に承認された世界初のソラナステーキングETFは、初日だけで約50億円の取引高を記録。従来の暗号資産ETFとは一線を画す「利回り型商品」として注目を集めています。
さらに10月には、資産運用大手グレイスケールがイーサリアムとソラナのステーキング機能を既存ETFに追加。証券口座を持つだけで暗号資産のネットワーク報酬にアクセスできる環境が整いつつあります。
初日50億円取引、何が投資家を動かしたのか
2025年7月2日、シカゴ・オプション取引所に「REX-Osprey Solana + Staking ETF」が上場しました。ティッカーはSSK。米国初のステーキング機能を備えた暗号資産ETFとして、初日の取引高は3,300万ドル(約50億円)、純流入額は1,200万ドル(約18億円)を記録しました。
この数字が意味するのは、単なる話題性ではありません。年率約7.3%のステーキング報酬が得られる点が、機関投資家と個人投資家の両方を引きつけたのです。
ソラナの価格上昇に加えて、ネットワークへの貢献報酬も受け取れる。株式の配当や債券の利息と同じように、「保有するだけで増える資産」として評価されたわけです。
グレイスケールが既存ETFにステーキング追加
動きはさらに加速しています。2025年10月6日、グレイスケールは米国で初めて、既存のイーサリアムETFとソラナ投資商品にステーキング機能を追加しました。
対象となったのは「Grayscale Ethereum Trust ETF」「Grayscale Ethereum Mini Trust ETF」「Grayscale Solana Trust」の3商品。合計82億5,000万ドル(約12兆円)の資産を運用するこれらの商品が、米国で初めて上場型商品を通じてステーキング報酬を提供する形となりました。
これまで暗号資産取引所や専門のウォレットでしか得られなかったステーキング報酬が、証券口座経由で受け取れるようになった意味は大きいです。機関投資家にとっては、コンプライアンスや保管リスクをクリアしながら利回りを得る道が開けたことになります。
政府閉鎖で審査停止、それでも期待は高まる
2025年10月1日から始まった米国政府閉鎖により、SECの日常審査業務が停止しています。約90件の暗号資産ETF申請が影響を受け、審査期限のカウントダウンも一時停止中です。
それでも市場の期待は冷めていません。SECが導入した「ジェネリック上場基準」により、個別審査を経ずに上場可能となり、必要なのはS-1登録届出書の提出のみとなったからです。
フランクリン・テンプルトン、フィデリティ、ビットワイズ、グレイスケール、バンエックなど、主要な資産運用会社が申請しており、政府機能が再開すれば一気に承認が進む可能性があります。
日本の投資家は今、どう動くべきか
現在、日本では暗号資産ETFの販売・作成が法律で禁止されています。投資信託法で暗号資産が投資対象に含まれていないため、米国のようなETFを国内で購入することはできません。
ただし、選択肢がないわけではありません。SBI VCトレード、ビットポイント、GMOコインなど、国内の暗号資産取引所ではステーキングサービスが提供されています。イーサリアムやソラナを保有するだけで、年率数%から10%程度の報酬を受け取れる仕組みです。
ETFのような規制された金融商品ではありませんが、自己管理のもとで直接ステーキング報酬にアクセスできる点では、むしろ柔軟性があるとも言えます。
「パッシブ・インカム」が制度化される意味
今回のステーキングETF承認が示すのは、暗号資産が「投機対象」から「収益資産」へと変化しつつあることです。
株式の配当、債券の利息、不動産の賃料。これらと同じように、暗号資産も「持っているだけで収益を生む資産クラス」として位置づけられ始めています。
機関投資家にとっては、秘密鍵に触れることなくオンチェーンで利回りを得られることが大きな魅力です。資産の成長に加えて利回りも得られる商品が登場すれば、需要は一気に高まるでしょう。
日本の投資家にとっても、国内法改正の動向を注視しつつ、2025年後半から2026年にかけて議論が進む可能性を見据えた準備が必要です。制度が整うまでの間は、国内取引所でのステーキングを通じて、この新しい収益モデルを体験しておくのも一つの方法かもしれません。
Disclaimer: 本記事は情報提供を目的としており、投資・税務・法律・会計上の助言を行うものではありません。記載内容の正確性や完全性を保証するものではなく、将来の成果を示唆するものでもありません。暗号資産への投資は価格変動が大きく、高いリスクを伴います。最終的な投資判断はご自身の責任で行い、必要に応じて専門家にご相談ください。