投資を始めたいけど、どの株を選べばいいのか全くわからない。そんな時期がありました。個別株は難しそうだし、かといって貯金だけでは将来が不安です。調べていくうちに、SPY ETFという選択肢にたどり着きました。
これは1993年に世界で初めて登場した上場投資信託です。アメリカの代表的な指数であるS&P 500に連動していて、一つ買うだけで504社に分散投資できます。2025年10月現在、運用資産は約6,727億ドルで世界最大のETFです。
自動的に勝ち組企業に資金が集まる仕組み
SPYの面白いところは、時価総額加重平均という方式で構成されている点です。企業の規模が大きいほど、ファンド内での割合も大きくなります。
2025年10月時点の上位銘柄を見ると、エヌビディアが7.96%、マイクロソフトが6.73%、アップルが6.61%、アマゾンが3.73%です。30年前はゼネラル・エレクトリックやエクソンモービルが上位でしたが、今はすべてテクノロジー系の巨大企業に入れ替わっています。
つまり、経済の主役が変わっても自動的に入れ替わる構造になっています。わざわざ「次はどの産業が来るか」を予測しなくても、アメリカ経済全体の成長についていけます。
年0.09%のコストで30年持ち続けられる
運用コストは年率0.09%です。VOOやIVVといった同じS&P 500連動型の0.03%には劣りますが、一般的な投資信託と比べると圧倒的に安いです。
1,000万円を投資しても年間9,000円程度の経費です。長期で持つなら、この差は馬鹿にできません。0.09%と0.03%の差は30年で数百万円になりますが、SPYには他にない強みがあります。それが流動性です。
世界最大の流動性が生む安心感
SPYは1日平均311億ドルも取引されています。これは他のどのETFよりも圧倒的に多い数字です。大口の機関投資家や短期トレーダーも使っているため、いつでもすぐに売買できます。
売値と買値の差(スプレッド)もほとんどありません。急に現金が必要になった時でも、不利な価格で売る心配がないのは精神的に楽です。
配当は年1.09%だが、複利で効いてくる
配当利回りは約1.09%と控えめですが、四半期ごとに分配されます。高配当ETFと比べると物足りないかもしれませんが、SPYの本質は値上がり益です。
2025年の年初来リターンは約15.85%でした。5年間のトータルリターンは89.72%です。つまり5年前に投資した人は、資産がほぼ2倍になっています。
配当を再投資すれば、複利効果でさらに資産が増えていきます。時間を味方につけるなら、配当の低さはそれほど問題になりません。
15年以上持てば、歴史的に損失ゼロ
S&P 500の長期データを見ると、15年以上保有した場合、どのタイミングで買ってもマイナスになったことがありません。最悪のタイミングで買っても、15年後には最低でも年平均4%程度のリターンがありました。
2008年のリーマンショック直前に買った人も、7年半で元本を回復しました。2020年のコロナショック時も同様です。暴落は怖いですが、売らずに持ち続ければ必ず戻る、というのが過去のデータです。
プロの運用を超える、シンプルな戦略
SPYのようなインデックス投資は、プロのファンドマネージャーが運用するアクティブファンドより成績が良いことが多いです。ウォーレン・バフェットも、一般の投資家にはS&P 500のインデックスファンドを勧めています。
わざわざ銘柄を選んで、タイミングを計って、市場を出し抜こうとするより、ただ市場全体を買って持ち続ける方が結果的に勝てる、という逆説です。
日々の値動きに惑わされないために
SPYの流動性の高さは、両刃の剣でもあります。簡単に売買できるからこそ、市場が下がった時にパニック売りしてしまう人もいます。
だからこそ、毎月決まった金額を自動で積み立てる方法が有効です。価格が高い時は少なく買い、安い時は多く買うことで、平均取得単価が平準化されます。
いちいち相場を気にせず、淡々と積み立てていく。それだけで、アメリカ経済の成長を取り込めます。SPYは、投資初心者にも経験者にも使いやすい選択肢です。